長野県・松本市から在来線で40分程度で行ける、奈良井宿をご存じでしょうか。
旧中山道沿いには、千本格子や出梁などの建築様式が残る民家が約1キロにわたって続きます。
それはまるで江戸時代にタイムスリップしたかのような宿場町の美しい風景でした。
電車を降りてすぐに広がる古い町並み
奈良井宿の最寄り駅はJR奈良井駅で、松本駅から在来線でおよそ40分で着く小さな駅です。電車は土日でも2時間に1本程度と本数が少ないので、行くときには帰りの時間も確認しつつ行動予定を立てるのが無難です。
これがJR奈良井駅の駅舎です。木造建築で、宿場町の雰囲気に合わせた造りになっています。JR東海の駅では最も標高が高い駅なのだそう。
そして、駅からたった数十メートルで奈良井宿の入り口にたどり着きます。車やバスでの移動がなくても行けるのはとても便利ですね。
江戸時代の雰囲気が残る、約1キロの小さなタイプトリップ
奈良井宿は中山道34番目の宿場で、多くの旅人の往来で栄えた町でした。その賑わいぶりは「奈良井千軒」といわれ、1843年の記録によると宿内の家数は409軒あったことがわかっています。このほか大名や公家、幕府役人が逗留する本陣は1軒、予備の脇本陣が1軒、一般の旅人が逗留する旅籠は5軒であったと記されています。
明治になって鉄道が敷かれはじめると、宿場町は活気を失い町並みも徐々に消失していきました。しかし、奈良井宿ではこうした建造物の歴史・文化的な価値を評価して、官民が一体となって昭和43年から町並みの保存に力を入れたのです。
今あるこうした風景は、そうした背景があってこそ今に伝えられています。
昭和53年には、国から重要伝統的建造物群保存地区に選定された奈良井宿。今でも建物は現役の民家として住民が住まわれています。
なかにはこんな昭和な看板にも遭遇します。
冷たくておいしい! 喉を潤す水場が点在
通りに面して、幾つもの水場がありました。柄杓やバケツが用意されていて、湧き水を飲むことができます。ひんやりと冷たくて、いくらでも飲めてしまいそうな美味しいお水でした。
水場は全部で5ヵ所ありますが、建物も個々に違いがあるので水場だけに注目してみても街歩きを楽しめるのではないでしょうか。
どの水場でも、地元の人々による神様への畏敬の念が感じられました。後編では、資料館を訪ねたり、食事を楽しみました。
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